IoTデータ
IT技術の革新により、モノがインターネットに接続される「IoT」の技術が広がりを見せています。しかし、「そもそもIoTってどんな技術なの?」「IoTを活用するメリットやデメリットを知りたい」そういった方も多いのではないでしょうか?
そこで今回はそういった方へ向けて、IoTについての基本情報やメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
また、IoTで収集したデータでは何ができるのか、収集したデータの活用する際の注意点なども整理しています。
IoTとは?
IoT(Internet of Things)とは、日本語に訳すと「モノのインターネット」です。すなわち、PCやスマートフォンだけでなく、日常生活のあらゆる物がインターネットにつながることを指します。
例えば、分かりやすいところでいうとApple社の「Apple Watch」などがIoTの例です。インターネットと時計を接続することで、身に付けた人の心拍数や血圧、歩いた距離などを自動的にデータとして取得することができます。
IoTは様々なモノに見られますが、基本的な仕組みは根本的には同じです。
- センサで情報を収集
- クラウド上にデータを蓄積
- 人工知能がデータを分析
- 人・モノへのフィードバック
Apple Watchを例にすると、センサにより歩いた距離を収集するだけでなく、あらゆるユーザのデータを集めて蓄積します。それらのデータを解析することで、「歩く距離を増やしましょう」などのフィードバックをユーザに与えることが可能です。
IoTの4つの特徴
IoTの技術により、今までできなかったことが簡単にできるようになりました。それによって物の利便性が格段に上がっています。IoTの特徴は、主に以下の4つです。
IoTの特徴1 モノを操作できること
インターネットにモノを接続することで、モノの操作が簡単にできるようになります。
例えば、iRobot社のお掃除ロボット「Roomba(ルンバ)」は、本体から離れたところにいてもスマートフォンで作動させることができます。また、事前にプログラムしておくことで、任意の時間に自動的に作動させることも可能です。
インターネットに接続することで、スマートフォンとの連携が容易になるので、あらゆるものが遠隔で操作することが可能となるでしょう。
IoTの特徴2 モノの状態を知れること
インターネットにモノを接続すると、モノの状態を知ることができるようになります。
例えば、タクシーのマッチングサービス「Uber」では、スマートフォンから自分の近くに利用できるタクシーがあるかを知ることができます。また、最も自分の近くにあるタクシーを選出して、運転手に通知することも可能です。
遠くにあるモノの状態が知れるようになると、移動・確認の手間がなくなり、ユーザの利便性が向上するでしょう。
IoTの特徴3 モノの動きを検知できること
IoTの技術を活用することで、モノの動きを検知できるようにもなります。
分かりやすい例として、自動運転機能を搭載した自動車が挙げられるでしょう。テスラ社の電気自動車「モデル3」は、歩行者の動きを検知して自動的に停止する機能が搭載されています。目の前に歩行者を確認すると、4m手前で停止する仕組みです。
自動運転機能付きの自動車だけでなく、建設現場などで使われる重機・建機などでも、モノの動きを検知できる機能が役に立ちます。
IoTの特徴4 モノ同士で通信できること
インターネットに接続することで、モノ単体だけでなく、モノ同士で通信して作動・操作・制御を行うこともできます。
上で紹介したiRobot社の「Roomba(ルンバ)」は、水拭きロボットの「ブラーバジェット」と通信することが可能です。事前にアプリから設定をしておくことで、ルンバの掃除が終わると自動でお知らせされ、ブラーバが水拭きを開始します。
モノ同士で通信することによって人間の判断を挟まずに動作させることができるため、あらゆる作業を自動化させることが可能です。
IoTの4つの課題
IoTは新しい技術なだけに、まだまだ課題もあります。IoT活用の課題は以下のとおりです。
IoTの課題1 高度なIT人材の確保が必要
IoTの技術を取り入れるためには、高度な専門技術を持った人材を確保する必要があります。
IoT製品の開発にはIoTを専門とするエンジニアが、IoTで収集したビッグデータを解析するには優れたデータサイエンティストが必要です。
現状としては、このような人材を確保するのが難しいでしょう。
IoTの課題2 電力供給の増加・最適化が必要
IoTの導入により、これまで電力を必要としていなかった物が、電力を必要とするケースが出てきます。
例えば、時計は従来電力を必要としない物でしたが、Apple Watchのようにデータを収集する機能が付くことにより、継続的に電力を消費するようになりました。
省電力化・低コスト化を実現する技術の導入も必要となるでしょう。
IoTの課題3 人的エラーへの対策が必要
IoTによりモノの動作・制御が自動化されたとしても、そのモノを活用するのは私たち人間です。
設定や環境整備の段階では人間が関わることになるので、人的エラーへの対策も必要となります。
IoTはあくまでモノの利便性を向上させる補助的なものと捉えて、使う人間側が注意を怠らないようにしなければいけません。
IoTの課題4 セキュリティ対策が必要
IoTによりあらゆるモノがインターネットに接続されるようになると、サイバー攻撃のリスクも上昇します。
PCやスマートフォンがインターネット経由でウイルスに侵されるように、インターネットに接続されているモノも攻撃される恐れがあります。IoTを活用する際は利便性の向上と並行して、セキュリティ面の強化も進めなければいけません。
IoT化する3つのメリット
IoTを活用するメリットには、主に以下の3つが挙げられます。
IoT化のメリット1 ユーザの利便性が向上する
遠隔での操作が可能になったり、自動的にデータを収集しフィードバックを受けられたりすることで、ユーザの利便性が向上します。
お掃除ロボットのルンバを任意の曜日・時間に作動させたり、Apple Watchで血圧や心拍数のデータを取ることができたりするのが、その例です。
IoTが活用できる対象は今後さらに広がっていくと考えられるので、さらなる利便性の向上が期待できるでしょう。
IoT化のメリット2 企業の業務効率化と省人化ができる
ユーザとモノを直接インターネットで繋いだり、モノ同士の通信で作業が自動化されたりすることにより、企業の業務効率化と省人化が進みます。
例えば、従来のタクシー会社は、コールセンターのスタッフが電話を受けて、タクシードライバーが送迎を行うという仕組みです。一方、Uberではスマートフォンからタクシーの位置を直接把握し、送迎をお願いすることができます。
こういった業務効率化、省人化の動きは各業界で進んでいくでしょう。便利になる反面、従来の仕事がなくなるという点でも注意する必要があります。
IoT化のメリット3 新しいビジネスの創出がしやすくなる
IoTの技術が生み出すのは、モノの利便性だけではありません。ユーザのビッグデータを収集・蓄積できるというのも大きな特徴です。
IoT製品はユーザの情報を収集して、クラウド上に蓄積していきます。それらはユーザの生のデータであり、ユーザ傾向を掴むのに非常に役立つのです。ビッグデータを解析することで、ユーザに刺さる新商品開発のヒントが得られます。
IoTは製品の質を高めるだけでなく、企業の今後の発展にも貢献します。IoTを取り入れられる製品に関しては、積極的に導入していきたいところです。
IoTでできること
IoT(Internet of Things)は、日本語では「モノのインターネット」と訳され、コンピュータだけでなく、様々なモノがインターネットにつながります。
IoTの普及は、それまで収集することのできなかったデータや収集することが困難だったデータを収集することが可能になります。
例えば、ウェアラブルデバイスを身につけることで、人の動きや心拍数などのデータを収集することが可能になります。また、製造業であれば設備の稼働状況(電力や電圧、温度や振動など)は人が目視して控えるしかなかったデータをIoTにより自動で収集することが可能になります。
このようにIoTのデータは、データ量が多く(Volume)、その種類は多種多様(Variety)であり、データの発生頻度・更新頻度の高い(Velocity)というビッグデータそのものと言えます。
IoTで収集されたビッグデータを分析することで価値を得ることができ、様々な課題の解決や新たなサービスの提供が可能になります。
IoTにより、外出先からスマホを使って自宅のエアコンをオンオフするなど「スマート家電」と言われる既存の製品に新たな付加価値(便利機能)を付けた製品が登場しています。
あるいは、家電の消費電力量を24時間監視できるコンセントを使った「独居老人見守り」という今までに無かった新たなサービスを提供するなど、IoTにより魅力的な製品やサービスが登場しています。
IoTで収集すべきデータ
IoTは新たな商品やサービスを提供するだけでなく、今ある課題解決にも有効な手段です。製造業では納期の短期化や人員不足などの課題解決に向け、IoT導入が注目されています。
それまで、人が1日1回、多くても1時間に1回しか収集できていなかったデータが、IoTを導入することで、1秒間に1回、1,000分の1秒に1回などの間隔でデータを収集することが可能になります。
収集したデータが多ければ、設備停止の原因究明の精度も高くなります。また、収集できるデータは、生産に関するデータ(生産数、生産にかかった時間と人員、不良品の数、生産設備の設定状況等)と設備に関するデータ(設備の電力や電圧、設備のオンオフ稼働データ、温度や振動、異常信号等)に大別できます。
このように、収集できるデータは様々ですが、全てのデータを収集しようとすると、多額の設備投資が必要となります。
また、1秒間に1回データを収集する場合には、最低でも1年間で数TBのデータ容量が想定されますので、収集したデータの保管場所や保管期限なども決める必要があります。
製造業にかかわらず、IoTを導入する場合には、「収集したデータで何をするのか」「どんな課題を解決したいのか」「どんなサービスを提供したいのか」など目的を明確にしたデータ収集が必要です。
IoTで収集したデータはそのまま使えるのか
IoTを導入することで、簡単に大量のデータを収集することができますが、収集したデータは完全ではありません。
例えば、「センサの誤作動で正しい値を収集できなかった」、「通信状況によりデータを受信できなかった」など、IoTで収集したデータには、異常値が含まれる場合やデータが欠落している場合があります。
よって、データ分析やAI活用で正しい結果を得るためには、IoTで収集した大量のデータから不正なデータを見つけ出し、整備する必要がでてきます。
例えば、下記のようなことがあります。
- 閾値を決め、閾値から外れているデータを除去する
- 時系列のデータが欠落している場合は、前後の値から推測される値を設定する
1時間に1回のデータ収集であれば24件/日のデータが、1秒間に1回収集すると86,400件/日にも膨れ上がります。人が手作業で確認するデータ量ではないことは確かです。
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